クラウドファウンディングご支援のお礼

楮を守り育てている人々のへぐりの暮らしを伝えたい! ドキュメンタリー映画『明日をへぐる』制作プロジェクト

 

この度は、本プロジェクトにご支援いただき誠にありがとうございました。おかげさまで、6月1日をもって目標金額に達することとなりました。コロナ禍で社会全体が大変な時期にこうしてご支援いただけましたこと、大変に有り難く深く感謝いたします。

 

我々スタッフは、日々の取材を通じて、和紙に関わる人々から、楮の栽培農家から、そして楮の植物から多くのことを学んでいます。

山畑に植えられた楮の株は50年を超えるものもある。山の人々は樹を枯らすことなく、株から芽吹いたひこばえを育て、毎年収穫し、和紙文化を底辺で支えてきました。日本全国に共通する山の人びとの暮らしの変遷と同じく、楮を栽培してきた高知県の山間の村々にも高齢化と後継者不足が迫っています。

しかし、山に住み(=棲み)楮を育て続けてきた山びとたちの暮らしを見つめていると、楮の栽培が単に需要な換金作物だから残ってきたようには思えません。楮の若芽の甘い香りは、猪や鹿や猿たちが好んで食べる初夏の好物で食害にさらされています。それでも楮の栽培を諦めるわけではなく、山仕事を通して山に棲む生き物たちと巡りきた春をともに喜び楽しんでいるようにさえ見えます。様々な動物や樹木・草木の生命の繋がりによって支えられた山びとの暮らしは、この先も消えることはないのではないか。もし消えるとしたら、私たちの社会がそして文化が途絶える時ではないかとさえ思えてきます。

一方で、今土佐和紙はその千年を超える耐久性から、新たな分野で注目され始めています。ヨーロッパの美術館では、劣化した古い歴史的な絵画の修復に、極薄に漉いた和紙が欠かせないものとなっているのです。

高知県いの町吾北地区における、土佐和紙の原料である楮をめぐる1年間の山びとの暮らしと、土佐和紙が生む歴史的文化遺産の再生への貢献を通して、あまりに高度化した現代社会の“表皮をへぐり”、開かれた私たちの明日につながるような作品を目指して参ります。

ドキュメンタリー映画『明日をへぐる』は、来年3月を完成目標に、皆様のご期待に応えられるよう、引き続き年度内は撮影を重ねて参ります。また追って撮影状況をお伝えいたします。

 

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。